入母屋


築40年程度の入母屋住宅
スケルトン解体部分は、片側大壁で筋交も見られましたので現在の在来工法と
大断面材と貫を使う伝統工法の中間な感じだと思われます。
開口部の多い作りですが、東北震災の際も、漆喰壁が割れたりはありませんでした。
一本物の大きな軒桁に、深く柱のほぞが刺さるので、太い差し鴨居やがっちりした小屋組と屋根の重さと共に
引き抜きを抑えて柔軟に地震力を受け流すようです。

場所によっては同じような構造の家も部分的に住めないぐらい傾いて解体したいとのお話もありましたので
大工さんの施工技術とともに、地盤などもかなり関わってくるようです。
固い地盤に固い建物を建てると共振で破壊が強く起こる場合があるなど、外部の状況と合わせて複合的な判断が
必要です。地盤が注目されると、必要のない地盤改良が横行したりして一時問題になりましたが、建築の場合
強くしようと思えば、際限なく費用をかけて強くできるので、構造体なども、国の定めた品確法の構造最高等級
(基準法の1.5倍)程度が、有識者の方々の見解で妥当だと思います。
筋カイや構造用合板他の耐力壁を増やせば2階などは簡単に高い耐力壁長を確保できます。
ただし高倍率の耐力壁は、柱頭柱脚に強い引抜力がかかるので、ホールダウンなどが必要になります。

構造計算も、設定荷重やたわみの設定・品格法の補助耐力壁などを考慮すると、通常の慣習的にもちいられて
いるスパンサイズよりも材寸が小さくなることが多いそうです。一部ではぎりぎりの材料にするために構造計算をする
ところもあるそうです。オーバー荷重で折れるより、たわみをなくす方がはるかに梁せいがいります。
大規模建築物などは、構造計算によって材料を節約するのは常識だそうなので(あくまでうわさで聞いた話です)
構造計算も大事ですが、すればよいというものでもなさそうです。やはり建築する施工側のコンセプトや誠意などが
大事だと思います。

一部分だけ剛で固めすぎると、既存の弱い部分にしわ寄せが来ます。全体のバランスも大事です。
破壊は弱い部分に集中して掛かってくるので、多分充分耐力のある部分は壊れないので力のエネルギーを
伝達していくだけになるのでしょうか。破壊はエネルギーの吸収だそうですので、行き場のないエネルギーが
弱い部分の破壊で落ち着くのだと思われます。
部分的に強力に作って持たせるよりも、接合部や部材の力とのバランスを考えて全体で一体化して持たせる
ほうが精神的にも技術的にも何となく安心感があります。
ただし、充分な検討と安全率を持たせた上で、デザイン上も含めて施工するというのはすごく賛成です。

入母屋の各部材名称と構造

軒桁(大断面)      入母屋構造の要 6寸x尺2寸他 出隅尺2寸程度出す
               長尺の一本物 継手は台持ち継や追掛け大栓など強度の高いもので継ぐ
               一本物の大断面軒桁に柱の長いほぞが差さる。屋根・直交梁と合わさって抑え効果が高い。
出桁受梁         @910 軒桁の上に直交 先端水勾配・山型 内部梁緊結
出桁(だしげた)      化粧垂木を受ける 
化粧垂木         @303 @606で小屋束垂木掛けで受ける
化粧軒天         杉2分3 木ズリ下地・中間は木小舞(竿縁)で受ける
面土            化粧垂木間 出桁受梁間 杉

下:茅負(かやおい)   見付4寸角程度
中:裏甲(うらご)      見付2寸角程度
上:小裏甲(こうらご)   見付1寸5分x1寸8分程度  ※裏甲・小裏甲は一本をしゃくってL型

隅木             軒桁出隅交差部に乗る 5寸x5.5寸程度 先端:板金かぶせ物・水勾配
はねぎ           茅負にささる@1820、小屋束に固定
野垂木           @455 曲げるため意外に細い
野地板           無垢板
下葺            ルーフィング
瓦葺き           三州瓦

差し鴨居          車知継ぎなど
丸太梁          渡りあご掛けなど断面欠損最小。 間仕切桁は平角 
               2間スパンなど飛んで重い屋根荷重を小屋束から受けて支える。
壁             貫構造、木ズリ下地・ラスモルタル・漆喰塗り
化粧材小口処理      小口塗装・板金かぶせ物・水勾配

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